
CASE.11 NGUYEN VAN THANH(グエン ヴァン タイン)さん
ベトナムから来日し、現在は国際物流営業業務に携わるタインさん。複雑な業務や専門用語にも前向きに取り組み、「忙しい日々だからこそ楽しい」と笑顔を見せます。来日したきっかけや現在のお仕事の様子などをお伺いしました。
現在、東海運株式会社 国際物流事業部 小松島港営業所勤務。
2025年10月15日
故郷を思い出す、徳島での暮らし
来日されたきっかけについて教えてください。
ベトナムのホーチミン出身で、18歳まで過ごしました。最初日本への留学は積極的ではありませんでしたが、普通中学(日本でいうところの高校)の先生から日本の話を聞いたり、父の友人からの勧めもあったことで日本へ少しずつ興味が湧き、卒業後留学することを決めました。日本に来てから2年間は岡山の日本語学校で学び、その後徳島にある四国大学文学部国際文化学科で学びました。大学時代には専門分野だけではなく、日本語能力試験N1、英検準1級、TOEIC700点以上などの資格取得にも励みました。徳島は母の故郷に似た穏やかな環境で、心地よく過ごせる場所です。
国際物流の現場での仕事について
東海運に入社したきっかけを教えてください。
大学3年生の時に大学内で開かれた企業の就職説明会に参加し東海運と出会いました。海上・陸上輸送をはじめ、通関業や倉庫業など幅広い物流サービスを展開する企業で、海外との取引も活発であることから、これまで培ってきた英語力を活かすことが出来ると思い志望しました。

・現在はどのようなお仕事を担当されていますか?
現在は、小松島港営業所で国際物流営業業務を担当しています。輸送手配や通関(※1)書類の作成・確認、顧客対応、スケジュール調整など、幅広い業務に日々取り組んでいます。物流の現場では、常に正確さとスピードが求められます。社内外の関係者と密に連携を取りながら、一つひとつの案件を丁寧に進めています。海外とのやり取りでは、英語と日本語を使い分け、相手に合わせたコミュニケーションを意識しています。
ときには、船の遅れやスケジュール変更などのトラブルもありますが、そうした場面こそ、自分の判断力や柔軟性が問われる瞬間です。関係者と連携しながら最善策を導き出せたときには、大きな達成感を感じます。
また、書類だけで完結する仕事ではないため、現場に足を運んで貨物の状態を直接確認することもあります。こうした丁寧な対応が、物流の信頼性を支えていると実感しています。
物流は決して目立つ仕事ではありませんが、「人と人、国と国をつなぐ」重要な役割を担っています。その一端を担えることに、やりがいと誇りを感じています。
(※1)通関:輸出入の際に税関で行う手続き。
今日できることは今日のうちに
現在はどのような働き方をされていますか?
基本的には朝から夕方までの勤務です。日中はお客様対応が中心のため、書類作成は落ち着ける時間を見つけて取り組んでいます。近年は、朝礼のオンライン化や、勤務開始時間の柔軟な調整が可能になるなど、働きやすい環境が少しずつ整ってきました。また、緊急時に自宅で業務を行える体制もあり、将来ライフスタイルが変わっても安心して働き続けられると感じています。
働き始めてからは、自分の意識にも変化がありました。学生時代の「明日でもいい」から、「今日できることは今日のうちに」という考え方へ。忙しい毎日だからこそ、そうした姿勢の大切さを実感しています。
言葉の壁を乗り越えて

お仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?
入社してまだ1年ほどですが、毎日新しいことに挑戦できることが楽しく、その一つひとつが自分の成長につながっていると実感しています。
学ぶことが好きなので、業務に必要な資格にも積極的に取り組んでおり、将来的にはお客様から信頼される存在になれるよう努力を重ねています。
大変に感じることは、やはり日本語の難しさです。今もビジネス表現や専門用語を学び続けています。特に電話対応では聞き取れないこともありますが、分からないことは素直に聞き返しながら、少しずつ習得しています。同じ部署の方々の温かいサポートにも支えられ、安心して仕事に取り組めています。
進んで行動し、自分の可能性を広げる
入社当初からこれまでを振り返って、どのように成長を感じていますか?
入社当初は、業界も業務も初めてで、正直なところ「自分に何ができるのか」まったく分からず、不安を感じていました。
しかし、知識がなくてもまずは行動することを心がけ、一つひとつ経験を積み重ねる中で、自分にもできることが増え、自信へとつながっていきました。できることが広がっていく実感とともに、「自分にも価値がある」と思えるようになったことは、大きな成長の一つです。
これからも学びを止めず、少しずつでも確実に前に進みながら、周囲から信頼される存在を目指していきたいと思います。